南半球におけるリースリングのポテンシャルを確立させた先駆者。クレアバレーは今やオルタネイティブ種の可能性も認知されている。英国からの開拓者として成功したパイク・ファミリー。地域環境を配慮しサステイナブルも推進した上で自然資源管理グループを設立。

◆ Pikes Winesパイクス ワインズ

 立/1984年 Clare Valley,Polish Hill(クレア ヴァレー・ポリッシュヒル地区) 
オーナー/Pike Family・パイク ファミリー ワインメーカー(醸造責任者)/Neil Pike ヴィティカルチャリスト(ブドウ栽培責任者)

ヘンリー・パイクは1878年に南オーストラリア・アデレードヒルズにあるオークバンクという小さな町にイギリスから移住して来ました。 1886年にH Pike&Co.という家族経営のビール会社を始めすぐに南オーストラリアで有名になりました。(ビール、ソフトドリンク、トニック飲料などで)。その時ラベルにイギリスのパイクフィッシュのラベルが使われそれは今にも受け継がれていて、現在パイクファミリーの長い歴史の象徴とも言える存在になっています。 ヘンリー・パイクの曾孫にあたるEdgarは大手のワイン会社でブドウ栽培とヴィンヤード・マネージャーとしてワイン業界で大成していました。彼の息子のAndrewとNeilも父の姿を見て父親の足跡をたどるかのようにワイン業界に入り、二人はローズワーシー農業大学を卒業した後Andrewはブドウ栽培と経営、Neilはワインメーキングとマーケティングの道に進みました。そして今日ではNeilがポリッシュヒルリバー・エステートとしてパイク・ロゴのワインを作り、「パイクス・リースリング」に至ってはクレアヴァレーのみならず、オーストラリアを代表するリースリングとして世界的な評価を得るています。現在はニールの子息、ジェイミーがセールス・マーケティング担当として全体を管理しています。

 

クレア・ヴァレーは、南オーストラリア州で最も北に位置するワイン産地、ポリッシュ・ヒルは海抜450メートルに位置しクレア・ヴァレーとバロッサ・ヴァレー両方の標高よりも少し高いところに位置します。この標高の高さは夜間の気温が低く、昼間の気温が少し下がることで、ワインの自然な酸味を保つのに役立っています。

 

 

クレアヴァレーの主だった層にある土壌は適度に肥沃な赤褐色の粘土質ロームから形成されています。またポリッシュヒルの核となるエリアの層は主にスレート質でクレア・バレーの中で唯一、均一なスレート質の下層土を持つエリアになっています。これらの古代の土壌は6億5千万年以上前のもので、栄養分は低いか中程度ではありますがミネラル分が豊富で、このことがワインのミネラル感に現れています。

 

 

この土壌構成は冷涼で雨の多い冬にも水はけが良く、土壌の栄養分レベルは低いか中程度、しかしこれがブドウの樹勢と収量を適度に低く保つ効果があり、果汁中の風味やアロマ、タンニンの濃度を高めています。
畑はポリッシュ・ヒル・リバーのなだらかな斜面に約130ヘクタールの敷地を有しています。主に東から南の東向きに植えられており、暑い夏の日中、午後の強い日差しからブドウの木とブドウを守るために、列の向きを工夫しています。
 

 

パイクスはリースリングで最も知られていますが、35年前からシラーズやカベルネを含む他の品種も栽培しています。現在、シャルドネ、セミヨン、グルナッシュ、ムールヴェードル、ピノ・グリージョ、ソーヴィニヨン・ブラン、サンジョヴェーゼなど、20種類の品種を栽培しています。近年では、サヴァニャン、アルバリーノ、ネロダアヴォラ、フィアーノ、モンテプルチアーノ、テンプラニーリョなどの代替品種を開発しています。

醸造所は敷地内にあり最新の設備を備えているため、夜の涼しいうちに収穫した果実は収穫後60分以内に破砕、冷蔵、圧搾されてワイナリーに運ばれます。これは、果実の風味を明るくフレッシュな状態に保ち、酸化や果汁との接触時間を最小限に抑えることができるという大きなメリットがあります。

パイクスでは長年にわたり「敷わら」という手法を使用してきましたが、これはブドウの木の健康、そして最終的にはワインの品質に重要な役割を果たしていると認識しています。除草剤の使用量を減らし、極端な熱波の状況下での水分蒸発を抑えるという持続可能性の利点があるだけでなく、健全な根の成長を確実にするためにブドウの木の下の土壌温度を下げるという重要な役割も果たしています。また、自然に分解され土に帰り貴重な有機物を土壌に加えます。更に地面からの反射熱を止めてくれるので、果実自体の温度を大幅に下げることができ、原始的でピュアな果実の特徴を守ることができます。ブドウ畑全体で3~5年ごとに敷わらを新たに施しています。

現代的なワイン造りと伝統的なワイン造りの両方の技術を組み合わせ、ここで栽培された果実を表現したフィネスとスタイルのワインを生産しています。

シラーズとサンジョヴェーゼ、一部の白ワインには複雑さを増すために野生酵母による発酵が奨励されています。グルナッシュ、サンジョヴェーゼ、ムールヴェードルは、色、風味、タンニンを抽出するために、発酵後3週間まで果皮に留まることがあります。。

SUSTAINABILITY

ここでの取り組み、ブドウ畑と醸造所において環境的に持続可能な方法を幅広く採用しています。これにより、私たちの土地への影響を最小限に抑えブドウ栽培者やワインメーカーとしての私たちに現実的で具体的な利益をもたらすことができると考えています。

ワイナリーと醸造所の廃水とブドウの皮や茎などの固形物を100%リサイクルするEPA(環境保護庁)承認のプログラムを実施しています。その後、水は灌漑用水として、固形廃棄物はブドウ畑の堆肥として再利用しています。

 

ワイナリーの建物に降った雨を一滴残らず収集し250万リットルの雨水を貯蔵してワイナリー、醸造所、レストランで使用することで可能な限り自給自足を図っています。化学薬品の使用は最小限に抑えられています。可能な限り有機または元素系の殺菌剤や生物学的な形態の雑草防除剤を使用しています。敷き藁とカバークロップの作業は蒸発による土壌の水分損失を減らすという利点もあります。有機化学薬品を使用しているだけでなく、ハイテクな噴霧器ユニットがオーバースプレーを回避しているので必要な噴霧量も50%減らせれます。

土地の生物多様性を向上させ、流れるポリッシュヒル川流域の健全性を向上させるために敷地内に自生の樹木や低木を植え続けています。オーナー兼マネージング・ディレクターのアンドリュー・パイク氏はポリッシュヒル川自然資源管理グループを設立し、現在も積極的に関与し、土地の生物多様性を向上させて健全性を向上させるために、敷地内に自生の樹木や低木を植えています。

ルッチオ・ピノグリージョ/Luccio Pinot Grigio パイクス

ルッチオ・サンサンジョベーゼ・ロゼ/Luccio Sangiovese Rose